JT848 白沢図二所物
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後藤光美
銘:小柄 後藤光美(花押) 目貫 キバタ銘 光・美
小柄・赤銅魚子地高彫色絵哺金 目貫・銀容彫金色絵 江戸時代後期
小柄 97.4mm×15.3mm 表目貫30.1mm 裏目貫29.5mm
佐藤寒山箱書時代桐箱入落込済 仕覆付
「鏨の美」、「愛鐔」所載
特別保存刀装具鑑定書付
Mitsuyoshi Goto the 15th, Design of Hakutaku, a sacred beast.
Late Edo period.
Published in “Tagane no bi” and “Ai tan”.
NBTHK Tokubetsu Hozon Tosogu Certificate
後藤真乗光美は後藤本家15代の当主で、14代光守の嫡男として安永9年に生まれました。文化元年に先代光守の跡目を相続し、天保6年に没しました。在位は31年にも及びましたが、そのときの将軍家は在位が50年に及んだ11代将軍家斉の時代でした。家斉は、当初は松平定信による寛政の改革を行いましたが、それ以降は贈賄政治を奨励し、8回に及ぶ貨幣改鋳を行ってインフレを招き、大塩平八郎の乱も起こり、失策続きで幕藩体制に崩壊の兆しが見えるようになった時代でした。
この二所は珍しい「白沢」の図を表現しています。「白沢」とは、中国最古の王である黄帝が、東海地方を巡行したときに出会った霊獣で、徳の高い為政者の治世に姿を現すとされています。為政者を表現したものであり、家斉が光美に注文したことが明らかで、政治が混沌とした時代にあったからこそこのような図を注文したものと思われます。この二所物は未使用で状態が良く、しかも特別な注文であったせいか、名人の程乗にも見間違えるような溌剌とした彫口で、光美としては最高傑作の一点です。
光美は後藤各代の中でも最も技量が落ちるとされていますが、その評価が不当であることを、このような魅力的な作品が証明しています。
佐藤寒山博士の箱書があり、「鏨の美」や「愛鐔」にも所載され、刀剣博物館出品の札も添えられています。