JT1319 唐花図鐔
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志水五代甚吾茂永
銘:八代甚吾作
鉄地障泥形土手耳金銀布目象嵌 丸耳 江戸時代後期
76.2mm×72.8mm×耳3.5mm(切羽台4.2mm)
上製桐箱入落込済
「銘八代甚吾」として保存刀装具鑑定書付
¥360,000
Jingo Shimizu the fifth. Design of Karahana, stylized floral
Late Edo period.
NBTHK Hozon Tosogu Certificate as “Mei Yatsushiro Jingo”.
志水家は、平田彦三の甥であった初代仁兵衛に始まり五代目の茂永で金工としての終焉を迎えています。五代茂永は、生年は不明ですが没年が嘉永七年(1854)であることから、神吉深信とは、ほぼ同世代の金工であったと思われます。当時は熊本のみならず、江戸でも甚吾風のものが流行っていたことから甚吾の作風が一世を風靡していたことが伺えます。これは茂永の功績であり当時は高く評価されていたことがわかります。この鐔は、やや角張った障泥形、周囲を土手耳に仕立て、中央部を膨らませた肉置きで、左右に大きな櫃穴を開けています。平地には唐花を薄肉彫にして表現し、金の布目象嵌を施しています。土手耳の部分は網代模様を彫って銀の布目象嵌で飾っていますが、ほとんどを摺り剥がしています。唐花の画題は、古くは南北朝時代の目貫に見られますが、江戸時代には志水の系統にだけ見られるものです。このような古典の知識と芸術的な感覚は、茂永がいかに優れた工人であったかを証明しています。銘の鏨が細く、茎穴上下に独特の穴が開けられていないことから70歳以降の晩年の作品であることがわかります。また、裏側に銘を切っていることから、高位の武家からの注文作であったと思われます。大きさもあり、保存状態も雰囲気も良く、五代甚吾の傑出した鐔です。