JT937 二引両透唐草図鐔
無銘:初代西垣勘四郎
鉄地長丸形金布目象嵌 丸耳 江戸時代初期
82.2mm×78.5mm×耳3.5mm(切羽台4.0mm)
上製桐箱入落込済
「伝勘四郎」として保存刀装具鑑定書付
¥380,000
Nishigaki 1st Kanshiro.
Design of Hikiryo emblem and arabesque.
Early Edo period
NBTHK hozon paper as "Den Kanshiro".
西垣勘四郎は平田彦三の門人で、細川三斎に随行して肥後八代に住みましたが、三斎没後は熊本に移り細川家の抱え工として活躍しました。慶長十八年(1613)生まれで林又七とは同じ年です。作風は林家のように謹直ではなく自由度があり、高士の風格を備えています。この鐔は、細川家の紋章の1つである二引両を透かし、平地には金の布目象嵌で唐草を表現しています。有機的な長丸形で、軽快な印象の薄手に仕上げ、透かし際には面を取り、平地には細かな凹凸があって微妙な変化を感じさせます。良く観察すると縦の鑢が不規則にかけてあって、これも奥行きと余韻があり、観ていて飽きない鐔です。一重でこのように一見、無造作な唐草象嵌は初代の手癖で、鐔全体に花を添えています。このような初代勘四郎の個性が横溢した鐔は貴重で、愛玩に足る名作と言えます。


